奇妙な毛色〜ベンドア斑〜

競馬

1880年にイギリスダービーに優勝したサラブレッドの事を知っているだろうか。

奇妙な毛色をした一頭の馬

彼の名は・・・

ベンドア(Bend Or)

紋章学の襷Bendと金色を表すOrを合わせた馬名の彼は、後に種牡馬として活躍し、その名を血統書に残している。

先述の通りイギリスダービーに勝利しているのだが、この時主戦であった伝説的騎手フレッド・アーチャーは片腕を負傷しており、医師の制止を振り切って競走に騎乗していた。
そして、実質片腕だけでダービーに勝利するという偉業を成し遂げ、この話は現在でも有名になっています。

ベンドアは体高164cmという、当時としては破格の素晴らしい馬体をした馬でしたが、同時期にベンドアと同じくエクリプスを祖先とするセントサイモンという馬がいて、こちらが種馬として世界の血統体系を一気に塗り替えるほどの活躍をしていたため、ベンドアがリーディングサイアーとなる事はありませんでした。
それでもベンドアの種牡馬としての成績は優秀であり、イギリスの三冠馬オーモンドを輩出するなど、大きな活躍を見せていました。

種牡馬として活躍馬を出した事はもちろん素晴らしいのですが彼の名が後世に残っているのは別の理由もあります。

ベンドア斑

ベンドア斑と呼ばれる、馬体に浮かぶ黒い小さな斑点

ベンドアはこの黒い斑点を父の父ストックウェルから隔世遺伝で受け継いでいます。

元々は4代前の父バードキャッチャー(Birdcatcher)が有していた特徴で、バードキャッチャーは栗毛の馬体に白い斑点を有していました。

この斑点は、大豆~卵ほどの大きさであり、ベンドアの影響を受けているあらゆる品種で発現する可能性があり、バードキャッチャー斑点や、ベンドア斑と呼ばれています。

19世紀頃にはこれらの馬達の活躍によりたまにベンドア班が出現する馬を見受けることも出来たようですが、20世紀以降その数は減少してきています。

いまだにその遺伝様式は解明されておらず、未解明の部分が多い馬の毛色の七不思議のひとつとなっています。

馬の毛色にはまだ遺伝条件が解明されていないロマンあふれるものがたくさんあります。

皆さんの好きな毛色は何ですか? もしかしたら、その毛色にも面白い遺伝の話があるかもしれません。
ぜひ、馬の遺伝学を学んでみてください。

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