イギリスのリヴァプール郊外にあるエイントリー競馬場で行われる障害戦であるグランドナショナルという競走をご存知でしょうか。
芝4マイル2ハロン72ヤード(約6907m)、総障害飛越数30回という超長距離で行われる競走であり、年によっては有馬記念を超える馬券販売額となり、世界一過酷で世界一馬券の売れる競走となっています。
グレードはG3のハンディキャップ戦で、7歳以上の馬しか出走できません。
賞金総額は100万ポンドで、世界一賞金額の高い障害競走でもあります。
1839年から行われている歴史もあり、世界的に有名な障害競馬ですので、本記事ではそんなグランドナショナルを紐解いていこうと思います。
グランドナショナル GRAND NATIONAL
現在は毎年4月に行われているグランドナショナル
開催日は周辺の電車が開催中動かなくなる程影響力のある当競走は、入場するのに前売り券を購入し、前売り券の種類によって入れる場所が異なります。
当サイト管理人は一番安い券を購入し、一般席での観戦をした経験があります。
前売り券はすぐに完売してしまうので、早めの予約をするか、転売されるものを購入する必要がありますが、当日競馬場前で大量に転売している人もいましたので、どうしても手に入らなかったら早めに競馬場に行けば入れる可能性はあります。
正面入り口はタキシードにネクタイ、シルクハットを被った紳士や、ドレスを身に纏った淑女が入れる特別席の入場口、安い券を持った人は大きく回り込んで裏口からしか入れない上、道中いくつも入り口があり、それぞれの入り口でチケットを見せると毎回「このチケットはもっと向こうの入り口だよ」と言われて何度も迷いながら進んでいたので、入場までに結構疲れました。
ようやく競馬場に入ると、そこには噂で聞いていたブックメーカーが並んでいます。
「これが噂で聞いていたブックメーカーか!」と感動したのを覚えています。

このグランドナショナルの面白いところは、実際にその日グランドナショナルに出走する馬達が走るコースの芝の上を通ってコースの内側に行ける事です。
芝の上から撮った写真が以下

さらに、コースの内側からは障害を至近距離で見ることが出来ます。

このグランドナショナルの見どころは、競走内で飛越することになる障害の難易度にあります。
過去にはもっと難易度の高い期間もあり、距離も今より長かったのですが(7200m)度重なる難易度変更により現在の形に落ち着いています。
グランドナショナルには全16個の障害があり、複数回飛越する者もあるので計30回障害を越えることになるのですが、いくつかの障害には固有名詞が付いています。
ビーチャーズブルック
6番目(22番目にも飛越)の障害
踏切地点よりも着地地点の方が低くなっており、バランスを取っての着地が非常に難しい。
全障害の中で最難関であるとされています。
その昔騎手としてグランドナショナルに参加したビーチャー氏が、この小川障害(ブルック)で落馬したことから命名された。
フォイネイボン
7番目(23番目にも飛越)の障害
1967年のグランドナショナルの23番障害で大規模な落馬事故が起こり、ただ一頭ぽつんと後方に置いて行かれていたフォイネイボンという馬だけが事故に巻き込まれずに悠々と1着でゴールしたことからこの時の優勝馬の名前が付けられた。
キャナルターン
8番目(24番目にも飛越)の障害
着地後ほぼ直角に曲がらなければならない非常にいやらしい障害
飛越中に曲がる体勢を作っておかなければならないようで、一度この障害を飛越拒否した馬が障害前を横切ってしまい、後ろから来た馬達を妨害、大規模な落馬事故が起きたことがあります。
バレンタインズブルック
9番目(25番目にも飛越)の障害
キャナルターンの直後の障害のためバランスを上手く立て直してから飛越に望まなくてはいけないので上手くキャナルターンを超えられたとしても安心させてくれない設計となっています。
1840年に、この障害でコースの柵を飛ばした馬の名が冠されています。
ザ・チェアー
15番目障害で、唯一1度しか飛越しない障害
はば182cmの空壕と、157cmの高さの障害の組み合わせの障害
昔はさらに難しい障害だったが今は難易度が緩和されています。
世界的に有名で大迫力の競走が行われるグランドナショナル。
みなさんもぜひ一度現地でご覧になってはいかがでしょうか。
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