皆さんは毎日何かしらの交通手段を利用している方がほとんどだろう。
一体、どんな交通手段を用いているだろうか。
思い浮かべてほしい。
実はそのほとんどが馬と関係しているのだ。
鉄道
鉄道の成り立ちは古く、16世紀頃に使われていた馬車鉄道が始まりだったとされている。
馬が動力となり、後ろに繋がれた箱を運ぶ簡易的なものであっただろうが、実は現代にもその頃の名残がある。
何が名残なのか、考えてみてほしい。
それは、車輪幅である。
鉄道の普及はワットが発明した蒸気機関とともに起こったのだが、この時、イングランドにあったキリングワース鉱山で使われていた馬車鉄道と、新たに作られる蒸気機関の鉄道を円滑に接続し、物資を効率的に運び出したかったのだ。
この時、車輪幅が異なると車両は走行できない。
そのため、蒸気機関と共に発達した鉄道の車輪幅は、キリングワース鉱山ですでに使われていた馬車鉄道の車輪幅を採用して作られていったのだ。
この幅1435mmを標準軌と呼ぶ。
日本でも新幹線などに採用されており、今でのその幅を見る事ができる他、東京近辺で使われている狭軌(標準軌よりも狭い車輪幅のもの)は昔は東京で走っていた東京馬車鉄道のものを参考にしたものだったりする。
それだけではない。
鉄道が発達し始めた頃、その車両の事をアイアンホースと呼んでいたのだ。
元々移動手段といえば馬だった時代なので、馬が鉄に置き換わったから、鉄道はアイアンホース
単純だが言い得て妙であると感じる。
鉄道以外にも様々な交通手段がある。
バス
バスの語源はオムニバスだ。
オムニバスとは元々ラテン語で「全ての人のために」という意味であり、転じて乗合馬車を表していた。
乗合馬車とは、大きめの馬車であり多くの人が入れ代わり立ち代わり乗ったり下りたりするものであったから、イメージは今のオムニバスに近い。
なぜオムニバスが「バス」に変化したのかというと、フランスにある帽子屋OMNESの前に止まる乗合馬車があり、広告で「OMNES OMNIBUS」という看板を掲げていた(オムネは全ての人々のためにあると言う意味)
それを見た人々が、オムネに止まるバスだからオムニバスなんだと勘違いしてしまったのだろうか、いつしかオムニバスは省略されてバスと呼ばれるようになった。
さらに時代が進み、今や乗合馬車は車両に置き換わってしまったが、いまだにバスという呼び名は残っている。
車
現代人にとってなくてはならない乗り物
それは車だろう。
どうせ車が普及する前は馬が主な移動手段だったから、車は馬の代替品だとか言うんでしょ?
そう思った方もいるかと思います。
実はそんなに簡単なことではないのです。
ダンロップというタイヤメーカーを聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
街中にもダンロップのお店があるのを見かけることもある大手メーカーだが、実はダンロップは空気入りゴム製タイヤを普及させた会社なのだ。
発明自体はもっと前にされていたようだが、ダンロップ社の創始者ジョン・ヴォイド・ダンロップが1888年に会社を立ち上げ、再度空気入りゴム製タイヤを発明、実用化した。
この時の空気入りゴム製タイヤの発明に一役買っているのが馬なのだ。
ダンロップは実業家であり、獣医でもあった。
そして彼の息子は悪路を自転車で走ることに苦労しており(友達と競争していてなかなか勝てなくて悔しがっていたという話もある)なんとか気持ちよく走らせてあげたいとダンロップは考えていた。
そしてある日、疝痛という症状の(腸内にガスが溜まっておなかが膨れ上がって腹痛に苦しんでいる状態)馬を治療しに行ったところ、その馬のおなかを見て
まん丸だなぁ。どこまでも転がっていきそうだ
そんなことを思ったらしい。
そしてこの疝痛で膨らんだ馬のおなかから着想を得て、それまではタイヤにただゴムを張り付けていただけのタイヤに、空気を入れるという発想へ至るのだ。
その発想を息子の自転車に使ったところ、とても走りやすく改善されたのだ。
これを商業として発展させてタイヤメーカーとして大成したのが今の「ダンロップ」なのだ。
もし、疝痛で苦しむ馬がいなかったら、今も快適な車の旅は実現されていなかったかもしれない。
自転車
さて、自転車の話題も出てきたが、実は自転車にも馬に関する話がある。
世界初の自転車は「ホビーホース」という名前で発売されたのだ。
跨った格好で地面を蹴る様にして走る乗り物だったのだが、その様子が馬に乗っているように見えたことからの命名であり、跨って乗るものにはこの他にも多くのものが馬を冠する名前を付けられることが多い。
「ホビーホース」ではちょっと子供っぽい印象を受ける方も多いでしょうが、大人向けの「ジェントルホース」というものもありました。
タクシー
ちょっと高い移動手段ですが、タクシーの由来も馬に起因しています。
1600年頃のヨーロッパでは貸馬車というものがあり、馬車を貸し出して使う交通手段が普及し始めていましたが、馬車の操縦は難しく、かつ借りるために多くのお金が必要であることもあり、一般には高嶺の花でした。
そこで登場したのが「辻馬車」
あらかじめ決められた場所(駅前など)で客を待ち、目的地を聞いてそこまで届けるものだが、これはまさに現代のタクシーである。
比較的安価に馬車を一般の人々が利用できるようになり、これが馬車が普及していくきっかけになった。
徒歩
様々な交通手段を紹介してきたが、一番手っ取り早く、だれでも今すぐに使える交通手段といえばなんだろうか。
それは「徒歩」である。
さすがに徒歩は自分の体を使って行う移動手段であるため、馬は関係ないと思うだろう。
だが、皆さんこんなものを聞いたことがあるだろう「東海道中膝栗毛」
これは主人公である栃面屋弥次郎兵衛が、伊勢詣で向かう道中で起こる事件などについて書かれた滑稽本であるが、この膝栗毛という単語は、「自らの足で行う旅行」を意味しており、長い旅は馬を使って行うものであるが、あえて自分の足で行うことから生まれた言葉だ。
そう、実は自らの足で旅することすら馬の代替なのである。
まとめ
いかがでしたしょうか。
地上を走る交通手段は、馬から逃れることができないのです。
鉄道
バス
車
自転車
タクシー
徒歩
この記事で紹介したもの以外にも、きっと馬に関する交通手段があることでしょう。
あなたの知っている、馬に関する交通手段はありますか?
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