面長の顔をした人を【馬面】と表現することがありますが、なぜ馬は【馬面】なのか考えたことはありますか?
当然馬が馬面であることには理由があります。
今回は馬が馬面である理由を紹介していこうと思います。
馬が馬面である理由
自然界で生きる馬達は様々な困難に立ち向かって生活しています。
一番大きいことは肉食の野生動物から身を守るために、いち早く肉食獣の存在に気づき、近寄られる前に逃げることです。
馬はとても足の速い生き物ですが、肉食獣はさらに足が速く、足音を立てずに近寄るすべも持っていますので、いかに早くその存在を察知するかが生死を分けるようになっています。
馬は目が顔の左右に付いていて、視野は驚異の350°、視力も野生動物の中では比較的良い方で、視覚の中で動くものに敏感に反応する臆病な性格もある上に、群れで生活していて他の個体が危険を察知ると他の馬もすぐにそれに反応するという連携もとれるように進化してきました。
しかし、そんな馬が、もし馬面でなかったらある行動をするときに問題が起きます。
草を食べるとき
草を食べるとき、もし馬が馬面でなかったらどうなるでしょうか。
馬は1日の内非常に長い時間を採食行動に費やします。
肉食獣から逃げながら生きていくために、草原に広く大量に生えている草を餌にすることで、どこへ行っても食料に困らないように進化したのですが、その分草は消化するのに細胞壁などがあるため非常に時間がかかる上に栄養を効率的に取り出すことが出来ないため、吸収しきれない栄養を補うために大量の草を食べることにより補わなければいけません。
馬は燃費の悪い動物であり、体重を維持するためにほぼ1日中採食行動を行います。
その時間は10時間以上、中には1日18時間近くを採食行動に費やしていたという記録も残っています。
そのため、馬を観察していると、ほとんどの時間を首を下げて草を食べている様子を見ることになります。
では、人間のような顔の生き物が顔を地面に近づけて草を食べる様子を想像してみてください。
長い草が生い茂っていた場合、視界が草で隠れてしまい、周りの様子が良く見えなくなってしまうと思います。
草を食べながらでも周りの様子を注意して見ることが出来るように、口から目までが離れていた方が、生存に有利になるため、馬は馬面に進化してきたのです。
肺を守るために
今度は馬が走っている様子を想像してみましょう。
リーダーを筆頭に、何頭もの馬が連なって群れとなり駆けていきます。
後ろの方を走る馬は前を走る馬が走ったときに巻き上げられる砂埃を吸い込んでしまうことになります。
もし人間が馬と同じような生活をしていたら、すぐに肺が埃だらけになり気管や肺を患ってしまう事でしょう。
馬面であることはこの砂埃などから肺を守ることにも役立っています。
顔が長いことにより、鼻から喉までの距離が長く、いわゆる鼻毛を非常に多く生やすことが出来ます。
この鼻毛がフィルターの役割をして砂埃を絡めとることにより、肺を保護しているわけです。
また、馬は比較的寒い気候の地域に分布しているものも多く、走るために進化した馬の肺は一度に多くの空気を取り込むことが出来ますが、冷たい空気を一度に大量に取り込むことが肺を痛めてしまう原因になります。
顔が長いことはこの冷たい空気を吸う事の対策にもなっていて、鼻から肺まで長い距離を通ることにより、少しでも体温により空気を温めてから肺に送ることができるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
馬が馬面であることにも、ちゃんとした理由があるのです。
- 草を食べながらでも周りの様子を注意してみるため
- 長い顔の中に多くの鼻毛をはやすことにより土埃を絡めとるフィルターの役割を果たす。
- 外から取り込まれた空気を出来るだけ長い距離をかけて肺まで送ることにより温めている。
馬の美しい体にはそれぞれの部位に進化の神秘が詰まっているため、今後も少しづつ馬体の神秘について記事を書いていければと思いますので、楽しみにお待ちください。
コメント